チビ・ゆきのルイージの小説外伝

ルイージの小説外伝の置き場

ルイージの小説外伝3 第二話

全くもって解せない。行く宛のなさそうなこの子を社員としてここに住まわせようまでは分からないでもない。まぁ、可哀想だし。けど…

「何故戦闘相手が私なのか」

「手加減してあげてにゃ」

「そう思うなら尚更なぜ私なのか!!」

これでも社員の中では強者の部類に入るであろうと自負している私に、何故新人の相手を任せようと考えたのか。まぁ目の前に居たからだろうけど。せめて緑のとかで良いじゃない。なんで私なのよ。

「あのねぇ、テストだからって私手加減なんてしないわよ?」

「えー?そこをにゃんとか…」

「嫌よ、私のプライドが許さない」

「相変わらずだにゃ」

ルーニャの呆れたような声にふんっ、と顔を逸らす。当たり前だ。私は由緒正しき魔女なのだ。仮にテストだからって本気で来る相手に対し手加減なんてしたくない。というより手加減なんてしたらむず痒くなってしまう。特にあの少年。少しなよっとした所があの男にそっくりなのだ。余計に加虐精神が煽られてしまう。

「寧ろ本気出したいぐらい」

「にゃ、にゃにがシルクをそこまでさせるのにゃ…!?」

「とりあえず…頃合いを見て止めてよね?私やり始めたら止まれる気しないから」

ルイージ呼んでくるにゃ?」

「あれに、私が、止められるとでも?」

「私、頑張るにゃ」

あの男に止められるなんて冗談。だったらルーニャの方がマシ。二人でそんなことを言い合いながら予定の場所に着くと、ルノは先に準備して待っていたのかいつでも大丈夫だと言うふうに頷いてくる。怪我しても知らないからね、と忠告しながら私はつい癖で肩に乗った髪を退けようとしてしまう。そういえば最近邪魔になって髪を切ったのだった、うっかりうっかり。こほんっと一つ咳払いをし、構え直す。

「では、試験開始にゃっ!」

ルーニャの合図でルノが飛び出してくる。素人臭い真正面からの拳は私が魔法を使わなくとも避けられる程度のものだった。スキありと、右手を刃に変えルノの頬に切れ込みを入れてやると、そこから血が流れ始める。

「………なんにゃ…?」

「!!」

ルノの頬から流れた血が地面に落ちるより前に、その血は蛇のようにうねり剣のようなものを形作ってみせた。少し経って血が止まると剣はルノの体から完全に分離し、血の剣と変貌した。

「液体変化魔法…もしくはそういう体質…」

と少し思考を挟んだ瞬間、私の頬に切れ込みが入る。ルノの方を見ると赤い目が僅かに光を帯びている。帽子からはみ出た白い髪で彼がアルビノを患った者である事が容易に分かった。オッドアイの次はアルビノか。ふと私の可愛い幼馴染を思い出しかけ首を振る。模擬戦とはいえ試験中。相手である私がしっかりしなければ、そう思い直して右手の剣で彼の血の剣を弾き飛ばす。本番はこれからだ。ルノは弾き飛ばされた剣からは目を背け頬を傷に触れ爪を立てる。頬からまた垂れる血が彼の手の中で蠢きまた剣を形作る。普通なら躊躇する自傷を何の躊躇いもなく行い武器を作るところを見ると、あまり平穏な日々を過ごしてきたわけではなさそうだ。聞いてる限り記憶喪失でもなさそうだし、もしかしたらとんでもないところから来ているのかもしれないわね。まぁ、そんなの周りの人達のせいで今更戦慄するようなものでもないけれど。ルノが次に生成したのは複数の短剣だ。先程より慣れた手つきで短剣を扱い投げてくるところを見ると、長剣よりも短剣を投げる方が得意なようだ。すばしっこい上に投げてくる短剣が的確で早い。もしやあっちの方なのではと思うほどには上手い、というか不味い。

「このままだと負けそうだな…」

今回、相手が魔法を使うタイプではないと思って近距離で攻め込んでいたら、いつの間にやら完全に防戦一方になってしまった。こちらから攻め込むことが出来なくなってしまっている。

「さて…と。そろそろ決着をつけたいのだけど…」

負けて終わる、なんてのは癪に障る。そんなことはしたくない。どんな手を使っても勝ちたい。うん、四の五の言ってられっか。

「…?」

私が両手を下ろし右の腕を元に戻すとルノがポカンとした様子で止まる。その瞬間を狙い私は地面に手を付け魔法を唱えた。

「グレーブストーン!!」

途端にルノの足元の地面が隆起し、ルノを打ち上げる。

「っ!!」

打ち上げられた本人は咄嗟の出来事に動くことができずにいる。勝利を確信した私はルノの元にジャンプし右腕をハンマーに変えた。

「油断大敵ね」

私は微笑みながら彼に声を掛け、そのままハンマーを振り下ろしルノを叩き落とした。

 

 

結果、試験は合格。私はルーニャにこっぴどく叱られることになった。まぁ、ムキになって本気を出してしまったのは反省だ。後悔はしていないけれど。

「なんて無茶をしてくれるのにゃ」

「止めてって言ったじゃない」

「あんなん止められるわけないのにゃ!!」

そりゃそうだろう、そうならないように手早く終わらせたのだから。後悔の色がない私の表情に頭を抱えるルーニャ余所に、この場所に慣れない彼の方を見る。こっぴどく怒られている私を見て申し訳なさそうにしながら縮こまってる彼からは、先程の戦闘力が微塵も感じられなかった。比較的温厚な少年だが、あんな能力を持っているのであれば普通でないのは確か。あまりしたくはないが、警戒しておくに越したことはない。

「何はともあれ、これからよろしくね。ルノくん」

「…!…はい。よろしく、です」

にこりと笑いかける私に少しだけ目をぱちくりとさせるも、嬉しそうに微笑みながら彼はそう答えた。

ルイージの小説外伝3 第一話

ある、晴れた日であった。
私はルーニャ、会社猫の手の社長だにゃ。
今は仕事の休憩中、散歩に来ているのにゃ。
ある土手に差し掛かった時のことにゃ。

「…………なんにゃ、あれ」

一人の少年が、倒れていたんだにゃ。

 

 

 

-深紅の宝石は平和な世界を夢見るか-

 

 

 

「………っ……」

会社、猫の手のソファの上で、その子は目を覚ました。ルーニャが連れて帰ってきたというボロボロの姿の青年はゆっくりと目を開けると、上体だけを起こしここは何処だと辺りを見回す。そして私を見つけるとパクパクと口だけを動かした。

「まぁ、待ちなさい。まずは水分補給をしなさいな」

私は少年に水の入ったペットボトルを差し出す。少年は私とペットボトルを交互に見ると、私に悪意がないと分かったのか受け取った。喉を鳴らしながら飲むとペットボトルを返すと手を突き出してきた。

「ありがとう、ございます」

やけに透き通った声だった。お礼を言われた私は頷いてペットボトルを受け取る。そして少年を真っ直ぐ見据え、質問をする。

「初めまして、貴方の名前は?」

「る………ルノ、です」

たどたどしくそう答えた。記憶をなくしているわけではなさそうだ、それなら問題ない。ルーニャを呼んでこよう。
立ち上がろうとすると、不思議そうに少年はこちらを見る。

「少し待っていてくれるかしら?」

少年は、静かにうなずいた。


ーーーーーーーーーーーーーーー

「起きたのにゃ?彼」

「起きた。水も飲ませたから会話も出来るし、記憶喪失な訳でもなさそうよ」

「そっかぁ、なら安心にゃー」

そう言ってケタケタ笑う私を苦笑混じりに見つめているシルク。少年を保護してきた時にはばっかじゃないの?なんて言われたが、持ち前の面倒見の良さでお世話してくれた。流石はシルク、相変わらずだにゃ。

「んじゃ、私もいってくるにゃ」

「あの子、ルノっつったっけ。どうする気よ、何も考えずに拾っちゃってさ?」

「行く宛がないなら会社に入れるにゃ」

「あっそう?………はぁ!?」

「じゃあにゃー」

「あ、ちょ、待ちなさいよ、ルーニャ!?」

大声で叫ぶシルクを尻目に、私は社長室をあとにする。反対されるのは分かっていた。見ず知らずの少年を会社に引き入れるなんて。でももし、あの子に居場所がないのなら、私と同じ境遇を辿った者なら。

「放っておけるわけがないのにゃ」

廊下を歩きながら呟く。きっと、ルイージなら。あの時の彼なら。私と同じようにそうしてくれる。私がそうされたように。

ーーーーーーーーーーーーーーー

「おっきたっかにゃー!」

扉を荒々しく開けると、ルノという少年はビックリしながらこちらを見る。どうやら元気そうだ。

「大丈夫かにゃ?どこぞで倒れてたから担いで連れてきちゃったのにゃ」

たはは、と苦笑すると少し戸惑ったように頷く。さて、問題はこの子がどこから来たかだ。

「色々、聞いていいかにゃ?」

少し間を置いて、少年は頷いた。それを確認し、私は少年の隣へ座り質問を投げかける。

「君はどこから来たのにゃ?」

「…遠い、所。真っ暗、で、人も少なくて」

たどたどしく言葉を紡ぐ青年。恐らくあまり言葉を知らないのだろう、必死で知っている言葉を連ねているように見える。
遠い所で真っ暗、そんな所あっただろうか。

「じゃあ、なんで君は倒れてたのにゃ?」

「わからない、です。いきなり、暗い所、から、明るい所に、出た」

いきなり連れてこられたとでも言いたいのだろうか。これじゃ瞬間移動でもさせられたのかとしか思えない。いや、実際そうなんだろうが。

「明るい所、歩いてた。お腹、空いて…」

あそこの近くまで歩き続け、衰弱して倒れた。そういう事らしい。

「なるほどにゃー。それじゃ君には今行く宛はないってことでOKにゃ?」

コクリと、頷かれた。シルクが着いてきていたのかこちらをジッと見ている。判断はもう任せたということなのだろう。なら、答えは一つしかない。

「じゃあ、私と一緒にここに住むにゃ?」

私の問いかけにまたも少年はびっくりした顔でこちらを見る。一緒に住んでいいのというキラキラしたその瞳に、思わず私はキュンっと胸を踊らせてしまう。この子、可愛い。例えるなら、スピネル。

「遠慮はしなくてもいいにゃ、条件はあるけど」

条件という言葉に目をぱちくりとさせる彼を横目にシルクを呼ぶ。渋々私の隣まできたシルクを両肩に手を置きニッコリと微笑む。

「この子と、勝負してくれたらOKにゃ♪」

「…………は?」

シルクが振り向きポカンとする、少年も同じくポカンとした様子でこちらを見てみた。

「私なんか変な事言ったかにゃ?」

「めっちゃ言ってる。言っちゃってる」

シルクの驚いた声に首を傾げる。ここに住むということは会社に入ってもらうということだ。そりゃもう、試験は受けてもらわないといけないだろう。

「まぁとりあえず、さっさと行くのにゃー」

「え、ちょ、待ってってば、ルーニャ!?」

シルクの抗議の声を無視し、シルクとルノを連れて戦いの場へと赴いた。
これから、楽しくなりそうにゃ!

 


-続く-

新ルイージの小説外伝 第一話

オッドアイと新人少女


キノコ王国の城下町近辺に、星降る丘という名所があった。真夜中で誰もいない静けさの中、少女はポツリとそこにたっていた。黒髪に映える青い色の瞳を細め、呟く。


「この世界を、終わらせはしない。私が命に変えても…あの二人は私が守る」


それは少女の誓いの言葉。これから巻き起こる物語の始まりの言葉。少女はその言葉と共に、その丘から姿を消した。

 

 

 

昼、猫の手に向かう一人の男の姿があった。名をルイージ。そう、有名な英雄マリオの弟君だ。この日依頼を終えたルイージは依頼を全て終えた事を報告するべく、猫の手の社長ルーニャの元へと向かっていた。会社に入り社長のいるであろう部屋の扉を数回ノックして開ける。そのままルーニャに声を掛けようとした瞬間、お腹の方に衝撃が走った。目の前にたなびく美しい黒髪に一瞬見とれながらも状況が把握出来ずに動揺する。周りを見るとルーニャがやれやれとしたといった様子でこちらを見ており、ルーニャの目の前に立っている見慣れない青い瞳の少女が居た。少女はこちらの方をじっと見つめると、興味が無いというふうに顔を逸らしてみせる。その様子に僕は、冷たい印象を受けた。しかしこの状況、一体何があったというのだろうか。僕の腕に収まる少女は震えており、恐らく泣いている。


「ルーニャ、一体何があったんだ?」


「まぁ、ちょっとにゃ。あぁ、ルイージ。その子、新人さんだにゃ」


ルーニャは目の前の少女を手のひらで指し示す。新人だと紹介された少女はこちらに向き直りぺこりと頭を下げた。


「…新人と何かあったのかい?」


「実はこの子、かなりの毒舌でにゃ。スピネルが会社の案内をしてたんにゃけど…まぁ、結果はこの通りにゃ」


毒舌な新人。そういう類の人といえばマネーラぐらいしか思い浮かばず、思わず対処に頭を抱えそうになる。


「この子、合格したのかい?」


「あとは実技試験だけにゃ。ルイージ、お願いするにゃ」


「…分かった」


スピネルをなんとか宥めて引き剥がし、ルーニャに預ける。顔には出していないが、これでも怒っている。少しだけ深呼吸し、行こうかと声を掛ける。少女は静かに頷き先に部屋の外に出た。


「…あくまで実技試験だから、あまり本気を出さないように…と言っておくにゃ」


「…怒ってるの、バレた?」


「バレバレにゃ、ほら行っておいで」


ルーニャに釘を刺され、しっしと追い出される。僕は、そのまま実技試験の会場へ向かった。

 

 

外へ向かうと彼女の方はもう準備が出来ているらしく、長かった両腕の袖を捲り楽に構えていた。


「行くよ?」


「……」


声を掛けても無言。だいぶ警戒されているらしい。さて、実力は以下ほどか。


「…サンダーハンド」


一気に彼女の目の前まで接近し、得意の拳を振るう。手応えはあった、だが彼女に一切のダメージは与えられていなかった。正確には当たっていたのが、突如出現した剣によって跳ね返されていたのだ。どういうことか、その剣は彼女の袖の中から姿を見せていた。僕は咄嗟に後ろに離れ警戒態勢に入る。少女はなにか呟き呪文の様なものを唱えると、先程まで剣だったものが華奢な右腕に戻った。体を武器に変える魔法なんて今まで見た事も聞いたこともなかった。それに、彼女が峰打ちにしていなければこちらが大怪我をおっているところだった。なるほど、面白い。次に少女は右腕をハンマーに変えるとこちらに接近しジャンプしてくる。上から攻撃するつもりなのだろうかと咄嗟に構えるも、その予想はいとも簡単に打ち砕かれた。少女は僕の真後ろに降り立つと、僕の背中目掛けてハンマーを思いっきり振るってきた。衝撃に吹っ飛ばされるも体勢を立て直し相手の方に向き直る。その時、少女の長い前髪が風に揺られその顔を晒した。少女の隠れていた右目は左目の青と対照的に、煌びやかに赤く光り輝いていた。

 

 

-続く…?-

ルイージの小説外伝 ROUTE2

385回目

ルイージ…」

「どうしたんだい?スピネル」

…今度こそ…今度こそ…

ルイージが持ってるその宝石って…シルヴィに渡す物だよね?」

「えっ?あぁ、そうだった!シルヴィ!パス!!」

「えっ?あっちょっ!」

ルイージはシルヴィに宝玉を投げ渡すとルイージに攻撃しようとしていたカゲの女王の手に気付きそれを蹴り飛ばした。

「…!これはお母様の!…これでカゲの女王を木っ端微塵に出来る…まるで崖から落ちた豆腐の様に!!」

「わらわを豆腐と一緒にするでない!?」

「さぁカゲの女王、覚悟なさい?」

うわぁ、シルヴィ物凄い満面の笑みだ…

「やっやっやめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

「問答無用じゃいぃいぃいぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!」

どでかい魔力を放ったシルヴィはカゲの女王を木っ端微塵にした、皆は笑顔でシルヴィを囲み喜びあった、そして私は…

「…なんだろう、何か違う…」

ひたすら今の光景に少しの疑問を自問自答していた。

『なーんだこのカオス?』

【あんたが創り出したハッピーエンドでしょ?】

『えっ?あんなギャグ要素入ったハッピーエンドなんて僕は知りませんが?』

【んなもん知らないわよ】

『…まぁいっか♪』

【適当ね】

HAPPY END

…なんだこのカオスは←←

ルイージの小説外伝 ROUTE**・・・

ルイージ…」

「どうしたんだい?スピネル」

…今度こそ…聞くんだ…

ルイージが持ってるその宝石って…なんなの?」

「えっ?あぁ、これ?これは…」

良かった…聞けた…これで、これでハッピーエンドに…

ルイージっっ!!!」

「セルっ!?」

えっ…なん…でよ…?

「セル…ヴィ…?」

「…ガハッッ!!」

「…うわぁあぁあぁあぁあぁああああああああああああああ!!??」

「き…さまぁああああああっ!?」

また…?ルイージの前にセルヴィが盾になって、そのセルヴィのハラワタにはカゲの女王の手が刺さり、ハラワタから出る血は凄い量でカゲの女王が手を抜くともっと流れ出し出血多量の域を超える。周りから聞こえるルイージ、ルーニャの悲鳴とシルヴィの怒りと涙の混じった叫び声。…そして、

「あんた…よくもっ!?」

「レイっ!行くよ!」

ライとレイが憤怒の声を上げてカゲの女王に挑んでいく。

「ダメ…やめて…行っちゃダメぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

私はたまらず叫ぶ…でも、

「がっっ!?」

「愚かな…」

「ライ!?」

ライは『また』カゲの女王に捕まってレイが『また』ライを助けに行こうとしていた。

「やだ…やだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだ!!!!まだ消えたくないぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」

「やめてぇぇぇぇぇえええええええええええええええええええ!!!!」

私も泣き叫び、ライも泣き叫ぶ、だがライは前回の様に呆気なくカゲの女王に握り潰された。

「ライ…いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

レイは泣き叫んで生気を失ったかの様に目は虚ろになる、そして『また』レイもカゲの女王に握り潰され消えた。

こうやって三つの生命は『また』砕け散った。

前回同様、皆放心状態で叫び声さえ聞こえなかった、やはりシロスケも前回の様に目を見開きただただ怒り狂っていた。

そして…

「スピネルっ!!」

「スゥちゃん…ごめんね」

「……う…そ…?」

間も無くシルヴィは私の目の前でカゲの女王に取り込まれ、カゲの女王は完全復活を遂げた…

「シ…ル…」

なんで、なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで!!!???ちゃんと私違うやり方をしたはずだよ?ちゃんとルイージに…

「宝石の事聞いたよっ!?!?」

「っ!!!!宝石!?宝玉!!」

ルイージが何かに気付いた様に声を上げ、持っていた輝く宝玉をカゲの女王に放り投げた。

「あーた何してるにゃかぁあぁああああああああああああああ!?!?」

ルーニャがびっくりして叫び声を上げるがルイージはニヤリと笑っていた。カゲの女王は宝玉を受け取ると目を見開き宝玉を遠くへ放り投げようとする、だが間も無く宝玉は七色に光り、光はシルヴィそっくりの姿に変えカゲの女王を見据えていた。

「なっ…何をする…」

「あんたを破壊すんのよ、封印したってまた出てくるんでしょう?」

「きっきさま!?そんな事をすればわらわだけではなく、きさままで破壊されるぞ!?」

「そんな覚悟、とうに出来ている」

シルヴィ…?破壊…?何を…?

「やっやめろ…」

「スゥちゃん」

「やめろ…」

「今までさ、ありがとね」

「やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

カゲの女王の叫び声は虚しく、シルヴィはカゲの女王に抱きついて『さようなら』と私に口パクし、宝玉と共に二人は…

粉々に砕け散った…

「…シル…」

「にゃ…」

皆呆然としている。

「…こんな結末か…」

「ウシャ…」

そして私は…

「…い…いやぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」

女の子は、現れなかった。

それから数週間後、ようやく調子が元に戻った私はまた黒の塔の最上階屋上に来ていた、真ん中に座りぼーっとしいざ帰ろうとして振り返る。

七色の光がちらと見えた。

慌てて光の方に向かい光を拾う、光の正体は砕け散った宝玉が奇跡的に大きく残されている物だった、それを握り締め、私は一人泣いた。

『あーあ、これじゃ依頼者にがっかりさせるエンドなのかな〜…まぁいいや、一応トゥルー並みのエンドなんだから文句は言わせまい、もし言われた時には、もう一度分岐点からエンドを描いてみせよう…さて、僕もそろそろ自身の世界の「あいつら」と戯れてくるかな〜…あれ?通信?…はーいこちらチビ・ゆ…えっ…………混沌の神が復活…?…すぐ戻る』

黒の塔の屋上の空高くに居た女の子は、瞬間移動で自身の世界へと戻っていった…

TRUE END

テーマ曲 『コネクト』

http://youtu.be/viQZkeLX8dE

HAPPY ENDが見たいの?…ならコメントすればいいさ。

ルイージの小説外伝 ROUTE1 ・・

「…やっぱりなんでもない…」

「そうかい?」

ルイージは私に向こうに避難しておくように言うとシルヴィの手助けに行った。

『…本当にそれで良かったのかい?』

「!?」

不意に声が聞こえてきた、誰のものかは分からない、女の子の声。私が振り向いた次の瞬間、後ろからルイージの叫び声が聞こえた。振り向く私、後ろで『ほら見ろ』と言う女の子の声、目の前に広がる鮮血、血、血、血、ルイージの前にセルヴィが盾になっていて、そのセルヴィのハラワタにはカゲの女王の手が刺さっている、ハラワタから出る血は凄い量でカゲの女王が手を抜くともっと流れ出し出血多量の域を超えていた。周りから聞こえるルイージ、ルーニャの悲鳴とシルヴィの怒りと涙の混じった叫び声。

「あんた…よくもっ!?」

「レイっ!行くよ!」

ライとレイが憤怒の声を上げてカゲの女王に挑んでいく。

「がっっ!?」

「愚かな…」

「ライ!?」

ライがカゲの女王に捕まってレイがライを助けに行こうとする。

「やだ…やだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだ!!!!まだ消えたくないぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」

ライは泣き叫ぶが間も無くカゲの女王に握り潰された。

「ライ…いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

レイは泣き叫んで生気を失ったかの様に目は虚ろになり、レイもカゲの女王に握り潰され消えた。こうやって三つの生命は砕け散った、皆放心状態で叫び声さえ聞こえなかった、あのシロスケでさえ目を見開きただただ怒り狂っていた。

『これが君の望んだ結末かい?』

「…ちが…」

「スピネルっ!!」

女の子の声が聞こえ私は否定する、そしてルイージに呼ばれた、気付いた時には遅く私の目の前には…

「スゥちゃん…ごめんね」

「…な…んで…」

間も無くシルヴィは私の目の前でカゲの女王に取り込まれ、カゲの女王は完全復活を遂げた…

「シ…ル…」

私は何もできずただただ呆然としていた、涙さえ出なかった。シルヴィを取り込んだカゲの女王は次々と皆を殺していく、とうとうルイージも殺された、残りは私とそして、

『なぁ、これはあんたが望んだENDなわけ?』

白い服に白いマフラー、白い天使の羽に白い包帯と白いショートヘアの髪の毛、そして黒ずんだ黄色い天使の輪っかを頭に付け、目に黒い傷を負う女の子。

「あなたは…一体…?」

『………僕はチビ・ゆきだ』

「チビ…?」

『あぁ、スピネル?君はこんな結末でいいのかい?』

「…」

『仲間も皆死んだ、明日も見えない…そんな世界は嫌だろう?」

「…いや…だよ…」

『なら僕に願え、全ての魔力を僕に注ぐほどの願いを僕にかけてごらん?』

「願い…を?」

『そうだよ…さぁ、手を取って?』

私は女の子の手を取り目を瞑り、願いに魔力を込めて行く、女の子は目を開くとこう言った。

『さぁ、365回目の分岐点まで戻ろうじゃないか?』

Bad End

Bad Endテーマ曲『MAGIA』

http://youtu.be/rU0b-PK3cGk

366回目のループなんかさせない…必ず成功させてみせる。

ルイージの小説外伝 第二十四話

第二十四話:影の女王とレクイエム

「はっ…はっ…はっ…」

スピネルを探し走って奥の扉を開けるとそこには皆が居た、兄貴もシロスケもマネーラもルイージもセキリュウも探していたスピネルも…皆が居たから皆が唖然としていた、着いたのはとても広い屋上…そこの真ん中で一人空を見上げ佇んでいるのは………

「…良く来たのぉ…散々手こずらせおって…シルク・マキリスタ」

「あらあら、これはこれはカゲの女王様…良く私の上の名をご存知で…」

最低限の会話は済ませる、さぁ来なさいにっくき女王様…封印具なぞなくても私はあんたを完全消滅させてあげる…

シルヴィは右腕を剣に変え、カゲの女王は地面から大量の紫色の手を出現させ二人はぶつかった。ぶっちゃけ俺らには入る余地のない死闘だった、それほど二人は互角で強いのだということがわかる…だが俺は?魔女の血が混ざらず人の血を受け継いだ俺は?何で俺は何も出来ないのだろう…まぁごちゃごちゃ思ってても仕方ねぇ…見守るしかないかな…

牢から出た時、僕はセシリアさんにセシリアさんの魔力が全て詰まった宝玉を貰った、セシリアさんはこの宝玉をシルヴィに渡して欲しいらしい…そして屋上に向かう途中スピネルとも会い屋上に出た、そこにはセルヴィ達皆が居た、その真ん中でカゲの女王とやらが佇んでシルヴィに声を掛けた、シルヴィも返事をし二人の間に火花が散り殺気を出す。

ルイージ…」

「どうしたんだい?スピネル」

不意にスピネルから声を掛けられる、何事かと思って振り向くとスピネルは僕に異変があるような顔をしている。

「…」

スピネルは言うか言うまいか悩んでいるようだった。

言った方がいいのかな?それとも…

続く

分岐点だ、さぁスピネルはどうするのかな?((黒笑