とある兄弟の末路 『ジェシカ』
『君の名前で終止符』
「ママー!見てー!マリオだよー!」
「見ちゃいけません…あれはもうマリオさんなんかじゃないわよ…」
そんな親子の言葉を聞きながら、俺は空の缶珈琲をゴミ箱に投げ捨てた。
とある錦秋の候、俺は病院にある個室で白い壁に囲まれ孤立無援していた。先生が言うには俺は狂っているらしいが、俺はそうは思わない。そういえばあの男はいつ来るんだろう…今日も来るって言ってたのにまだ来ないな…。
ふと真横に人影、彼は両手にガーベラ抱えていた。無意識に俺は花瓶を差し出し、逆さまに床に落ちた。
「診断書か…」
今日医者に貰ったマリオの診断書。いつもと同じ内容が書かれていて少しうんざりしていた僕は、その診断書を破り捨てた。どうせ歯が立たないのだ。
「おーい、マリオー!…ってぇなにしてんの大丈夫!?」
マリオのお見舞いに来ていた僕は、マリオの病室へと入った。入った瞬間布団から転げ落ちて悶えてるマリオを見て、僕はギョッとした。また彼の幻覚を見ていたんだろう。マリオの周りには割れた花瓶の破片が散らばっていて、マリオにも複数刺さっていた。
「大丈夫マリオ?」
「んあ…誰?」
「誰って…僕はマステラだよ」
「…そうか」
ほら、また、僕の名前を忘れてる。
昨日もそうだった。
…それもこれもあいつが…
「なぁマステラ、あの男は?」
「…知らないよ」
「そうか…今日来るって言ってたのに…」
「そうなんだ…」
来るわけないじゃん、現実に居ないんだから。とはとても言えなかった。
一番だけ書いて力尽きた(´・ω・)