チビ・ゆきのルイージの小説外伝

ルイージの小説外伝の置き場

ルイージの小説外伝 2.5 穢れた世界の収束と再生編 第三話

チーム2:セキリュウ、シロスケ、ラン、ディメーン


「見よ!ディメーン!部屋ん中真っ赤っかだよ!!」

「君の目も真っ赤っかに爛々と輝いているから部屋の中が真っ赤っかなのが良くわっかんないなぁ〜♪つーか落ち着こうよ」

「無理!これは落ち着けないよぉ!」

…………なんとも濃い奴らが集まったものか…。シロスケはまだ大人しいから良いとして、このランという違う世界のシロスケはなんとも子供っぽいというかなんというか…。まさにガキとはこういう奴を言うのではないのだろうか?ディメーンはディメーンで普段子供のお守りをして慣れているのか疲れている様子を一切見せずランに付き合っている。まぁよくやるものだ。…しかし一つ二人に対して気になることがあったりする。

「どーしたのー?セキリュウにシロスケー?ずっと黙ってたらつまんなくなぁい?」

ずっと考え事をしていたらいつの間にかランがこちらを覗き込んでいた。ディメーンもランの後ろからどうしたの?という風に首を傾げて私とシロスケを見ている。「別に、なんでもないよ」と素っ気なく言うシロスケに対し、私はその考え事の原因をぶつけることにした。

「少し疑問に思ったことがあってな」

「疑問〜?」

「お前たち二人は何がどうなってカフェテリアなんぞを経営することになったんだ?」

首を傾げて言うランにその疑問をぶつけると、ディメーンがそのことかと納得したようにくすりと笑う。ランはなんだそんなことかという風にため息をついて見せるとバサッと布着ひ広げて「ではでは教えましょう!」と声高らかに答えてみせた。

「事の始まりはボクでね、ベビィ達を育てる代わりにボクらの世界では観光地でもある星降る丘にカフェテリアを経営させてもらう事になったんだ」

「なんでまたそのような事を?」

「反省した、というのもあるけどね。この世界に住むにはそれなりの貢献をしたほうが住みやすいと思ったんだ。これでも世界を滅ぼそうとした道化師だからね、簡単にはのうのうと住むわけにはいかないだろう?」

苦笑いでそう答える彼の顔に私は嘘の気配は全く感じられず、代わりに優しい気配が見え出ていた。本当にこの道化師は反省をしてキノコ王国の観光地で貢献しているのだろう。その言葉に、嘘偽りはないと私は信じてみる事にしよう。

「で、ランはどういう経緯で知り合ったんだ?」

「ぼくはね〜…ちょーっと複雑なんだけどさ」

「一人…というかやんちゃベビィ達を世話しながらカフェテリアを経営するのはなかなか難しくてね。これまでヒゲヒゲ君に敵対していた敵さん達に声をかけたんだよ。一緒にカフェテリアで働かないかってね。そのお陰で今はナスタシアにマネーラ、カゲ三人組にカゲの女王。他にもたまにいろんな人が来てくれてるよ。たまぁにクッパJr.君もね。で、いっちばん最後まで頷かなかったのが、今では皆勤賞のランってわけ」

「…では、ランが働く事になったのは」

「そ、一番最後ってわけ」

ディメーンが困ったような笑顔でそう答えると、ランがバツの悪そうな顔でぷくりと頰を膨らませる。それを見てディメーンがよしよしとランの頭を撫でる姿はまるで親子のようだ。しかし…そんな強情な彼をどうやってディメーンは店へ呼びこめたのだろう……。

「ま、結局コーヒーで釣れたんだけどね」

「美味しかったの」

結局それなんだな。やはり食い物で釣ったんだな。

「さて……ついたな」

「ンッフッフー♪ここが一番奥の部屋のようだねー♪」

「……開けるぞ?」

シロスケの問い掛けに三人で頷く。その頷きに薄く笑ってシロスケが扉を開いた。そこに広がっていたのは変わり果てただだっ広い会議室の様な場所。机にはキノピオの残骸や血が至る所に飛び散っている。その楕円の机の一番奥に座っている女性。

「あらーん?4名様ごあんなーい?」

ライとレイにも似たその口調。背中に生えた黒い翼。白いワンピースに茶色の長髪ポニーテール。ヒラヒラ振る手に飛び散っている赤黒いそれ。
本能が叫んだ。こいつが危険な存在であり、黒魔女が使役している悪魔そのものという事を。


続く