チビ・ゆきのルイージの小説外伝

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ルイージの小説外伝 2.5 穢れた世界の収束と再生編 第十四話

  ルイージの小説外伝 2.5 第十四話

 

ディメーンの足元に白い光で魔法陣が描かれる。美しくも儚い花の模様で描かれたそれは、光を放出しディメーンを包み込んだ。黒い魔女は目を見開くとこのまま消されてたまるものかと黒い光の魔法陣を足元に描き、漆黒の光に包まれる。

「一体何が…!」

冷や汗を垂らしながらもう一人の僕が緊迫した表情で彼等を見つめる。そうこうしてるうちに両者の光が弾け飛び、ディメーンは聖なる弓矢を構え、黒い魔女は何枚もの黒い結界を自分の前に出現させた。

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「………綺麗だ」

ボソリと、シルクが呟いた。ディメーンの持つ光の弓矢は白き光を放ち黒い魔女を威圧する。黒い魔女は目を細めまたもや棘を繰り出そうと地面に手をおこうとする。
すかさずディメーンが弓をゆっくりと最大まで引き、放った。


ディメーンが矢を放つと、矢は結界に阻まれる。だが、光の矢は漆黒の結界にヒビを入れ1枚ずつ割っていく。
一枚、また一枚と、皆が固唾を飲んで見守る中、矢は結界を貫いていく。

「最後の1枚……!」

スピネルがそういうとディメーンが魔女に向かって走り出した。魔女は光と闇の攻防に阻まれて見えないのだろう、矢を抑えるのに必死のようだった。ディメーンは魔女の目の前の矢まで走ると矢に向かってジャンプする。
一体何を…!!

「……!行っけぇぇぇぇ!!」

ディメーンが何をしようとしてるか気が付いたのだろう、シルクがそう叫んだ。
あぁそうか、なるほど。
僕が納得した瞬間、彼は思った通りの行動をした。ジャンプして飛び上がったディメーンは、矢に思いっきり蹴りを入れる。

そして……、最後の1枚が割れた。

 

 

 

 

 

 

やっと私を解放してくれるのね。

やっと君を解放できるよ。

何処の誰かも思い出せない貴方。

優しいオレの大切な幼馴染みの君。

きっと私は貴方を知っているし、

きっと君はオレを忘れているし、

貴方も私を知っているのでしょう。

それでも君はオレを信じているのだろう。

あぁ、もう本当の姿も、

あぁ、もうあの笑顔も、

何もかもが思い出せない。

何もかもを忘れてしまいそう。

私を呼ぶ柔らかなあの声も

オレを呼ぶ優しげな声も

もう忘れてしまったの。

もう忘れてしまいそうだ。

もう何も聞こえないのよ。

もう何も聞こえないのだろう。

お願い、この夜が明ける前に。

あぁ、この夜が明ける前に。

 

 

わたしに、とわなる…ねむりを……。

きみに、とわなる……ねむりを…!!

 

 

 

 


黒い魔女を、聖なる矢が貫いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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私の名前を呼ぶ声が聞こえた気がした。