ルイージの小説外伝 2 第一章 第七話
☆月10日
もう僕は…動じなくなってきていた。
「ルイージ、ピーチ姫はクッパに任せるけど…」
「分かってる」
僕は目の前の四肢を喰われたセキリュウに無言で手を合わせる。泣き崩れるスピネルを横目に見ながら、僕は無感情に目を細めた。僕も兄さんと変わらない、死体を見ても動じなくなっている。それが果たして良い事なのかは、僕も知らない。僕は目を閉じて今朝キノピオが噂をしていた事を思い出した。
『猫の生首を持ち三日月型の包丁を片手に赤い着物の男が、夜中街を徘徊している』
……きっと犯人だろう、まぁそんな事より、まずは死体処理だな…。
……親しい者の死体を見ても動じない僕は……
もう、心なんて壊れていたんだろう。
明日は誰が死ぬのだろう。
夜中、兄さんの浴びるシャワー音だけがやけに耳に残っていた。
『一人、二人、三、四、五、六、七、八…あと二人、あと二人……』
-続く-