チビ・ゆきのルイージの小説外伝

ルイージの小説外伝の置き場

ルイージの小説外伝 2 第一章 第四話

☆月7日

…今日も平和な朝だ…スピネルはキノピロと約束していたらしく、朝ご飯を食べると早々に出掛けて行った。そういえば兄さんまだ起きてないのかな…。そんな事を考えているとふと電話が鳴る音がした、僕がリビングから電話の置いてある部屋に行った時にはいつ起きたのか兄さんが寝間着のままで受話器を取っていた。兄さんは険しい顔をしていてうんうんと唸ると「お前はそこで待ってろ、警察呼んどくから、玄関の前で立ってろ。いいな?よし、じゃあ切る」と言って受話器を置き後ろを振り向いて僕に気が付いていなかったのかびっくりしていた。

「お前居たのか…」

「居たよ、誰からの電話だい?」

「キノピラさん家から、スピネルだった」

「…なんて?」

「…キノピラさんもキノピロ君も死んでいるんだと」

「っ!!??」

「…とりあえず行くぞ」

「うっ…うん…」

兄さんはそう言うと踵を返して部屋に戻り一瞬で着替え僕の手を取り家から出る。

兄さんに連れられキノピラさんの家に着くと家の前でスピネルが蹲っていた。スピネルはカタカタと肩を震わせていて、僕が近付いて声を掛けると抱きついてきた。そのあとキノコ国家警察の方々がやって来て兄さんと一緒に中へ入った。僕もスピネルから無言の了解を取り中へ入る。そこには驚くべき光景が広がっていた。中は真っ暗で明かりもついていなかったが外の明かりで何となくは見えた、それのせいで一層目の前の光景を怖くみせる。中にあったのはキノピラさんとキノピロ君の無残な死体。キノピラさんは頭の一部や両手足などを鋭い刃物で切断されていて、飛び出した内蔵からは血がしたたっていた。キノピロ君に至っては首から下がぐちゃぐちゃにされていて、頭も頭で上の方が切り取られていた。二人とも目は虚ろで血の涙を流し、口からは血液、唾液とともに嘔吐物も出ている。こんなものを見慣れないキノコ国家警察の一部の方々は吐きそうになったり、外へ駆け出したりしている。僕も見慣れずそのあまりにもグロテスクな光景に吐きそうになったが我慢している。兄さんはいっそ清々しいというような顔をしていた。…スピネルがこれを一人で何の心の準備も無く見てしまったんだと思うと非常に心が痛んだ。兄さんがあまりにも無表情でキノピラさん達を見つめるためちょっと気になって聞いてみることにした。

「…兄さんは大丈夫なの…?」

「そりゃあ…俺の世界では一日一人殺されるのは当たり前になってきちゃってるしなぁ…」

「…兄さんの国って…結構平和じゃなかったりするの?」

「そういうわけじゃない、うちのキノコ王国の真反対にあるアンダーグラウンドって国があるんだけどよ、そこが殺し屋とかが住む国でな?そこの殺し屋もちょくちょく依頼のためにキノコ王国に殺しをしに来るんだよ。それの後片付け的な事をたまに手伝いに行くから、多分それで慣れたんだと思う」

「そうなんだ…」

「あと俺の弟は殺し屋やってるしな」

「…はい!?」

今、僕は聞いてはいけない事を聞いてしまった気がした。

兄さんと外に出るとそこにはルーニャが居た、事件の話をスピネルから聞いてこれは凶悪な殺人事件なんじゃないかと思い、僕達に犯人捜索を手伝って貰う為のお願いをと様子見を兼ねて来たそうだ。二つ返事でOKした兄さんはルーニャと一緒に猫の手へ向かった。僕はカタカタ震えるスピネルと一緒に家に帰り、その後キノピラさん達の葬儀に出た。

家、僕は机の椅子に腰掛け一人考え込む。クッパ…ではない筈なのだ。クッパは今も昔もあんな無残な事をする奴じゃない、…かといって他に誰も思いつかないのだ。…僕は日記を書くのを止め、天井を見つめる。…まさか、新たな敵か?…だとしたら一度姫にも相談しないと…明日は兄さんやスピネルと一緒に城へ行こう。僕は日記を書き終え明かりを消し、ベッドに潜った。




-続く-